カテゴリ:東北に仏像を( 62 )

大槌町へ・・・3月10日

3月11日、江岸寺仮本堂にて執り行われる鑿(ノミ)入れ結縁法要のために、

仏師の三浦耀山氏、フォトグラファーのたかはし じゅんいち氏と私の三人で、

前日の3月10日早朝、岩手県大槌町へ向かいます。


大震災と津波、そして火災により堂宇の尽くを喪失した江岸寺での鑿入れ結縁法要。。。

その日から、本格的に仏像の制作が始まります。


多くの人の祈りを仏像に刻みます。


悲しみを抱えている人の心に安らぎが訪れますように。

そして、亡くなられた方の魂が安らかでありますように。
by gizankatoh | 2012-03-09 13:02 | 東北に仏像を

散華・・・

仏像奉納プロジェクトに截金師として参加している鷲尾美陽子さんが、

11日の鑿入れ法要の為に、散華に截金を施して下さいました。

とても美しい。。。

当日の法要に使わせて頂きます。

b0177891_811364.jpg




鷲尾美陽子<ワシオ ミヨコ>

昭和57年 大阪府高槻市生
平成13年 京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース入学
     在学中より截金を学ぶ
平成16年 京都迎賓館截金舞台扉の制作に携わる
平成17年 京都造形芸術大学卒業
     平安仏所にて人間国宝・江里佐代子に師事
     仏像・工芸品の截金彩色に携わる
平成23年 銀座和光「江里康慧・江里佐代子展 仏像と截金ー光放たれるときー」
     工房スタッフとして出品
平成23年 独立

*截金(きりかね)・・・
金箔・銀箔・プラチナ箔を数枚焼き合わせ細く直線状に切ったものを、
筆と膠などの接着剤を用いて貼ることによって優美な文様を表現する伝統技法。
日本では古くから仏像や仏教絵画の装飾に使われてきました。

b0177891_8441851.jpg

截金彩色飾筥「夏深し」












by gizankatoh | 2012-03-08 08:47 | 東北に仏像を

鑿入れ結縁法要・・・

甚大な被害をもたらした大震災と津波から3月11日で1年を迎えます。


平成24年3月11日 岩手県大槌町の「江岸寺」仮本堂にて

亡くなられた御霊の御供養と、仏像奉納の「鑿入れ結縁法要」を行います。


檀家様、家族や親しい人を亡くされた方、復興を願い仏像と縁を結びたいと思いを寄せて下さる方、

私たちの活動に賛同して下さる方、多くの方に仏像との縁を結んで頂きたく存じます。


この法要を機に奉納の為の釈迦如来像の制作が本格的に始まります。

宜しくお願い申し上げます。


日時:平成24年3月11日(日)

   午前11時より

場所:岩手県上閉伊郡大槌町「江岸寺」仮本堂



*「鑿(ノミ)入れ結縁法要」とは・・・
仏像を作る際、完成の無事を祈って、また関係者の方々により深く仏像との縁をもって頂くために行う儀式です。
仏像となる用材を祭壇にまつり、導師がお経を唱える間に関係者参列者ひとりひとりが、ご焼香、合掌したのち用材の前に進み出て一鑿入れて頂く形をとっております。
これにより鑿を入れた方と仏像との間にご縁が結ばれ、鑿入れにより削りだした木片は仏像の御分身として、それぞれの方が常に身の回りにお持ち頂くことができます。

Email :butuzohono@gmail.com
by gizankatoh | 2012-02-27 06:50 | 東北に仏像を

図面(原寸)・・・

3月11日の大震災と津波で被災された岩手県大槌町の「江岸寺」様へ奉納する「釈迦如来坐像」の原寸の図面です。

ご本尊として祀られる釈迦如来坐像は「法界定印(ほっかいじょういん・・・
膝の前で掌を上に向け、左手の上に右手を重ね、親指の先を合わせた印相)」が最も多いのですが、
何故、『施無畏与願印(せむいよがんいん)』の印相にしたのかなど、詳しく説明させて頂いてます。


b0177891_731410.jpg



・釈迦如来坐像
江岸寺は曹洞宗の寺院の為、ご本尊として釈迦如来像を奉納いたします。


・施無畏与願印(せむいよがんいん)の印相
施無畏印(手を上げて手の平を前に向けた印相)は人々の恐怖心を取り除いて救済する事を示し、
与願印(手を下げて手の平を前に向けた印相)は人々の願いを叶える事を示します。

甚大な被害をもたらした大震災と津波で亡くなられた方、家族や親しい人を亡くされた方・・・
被災された多くの方の心の傷を取り除き、心安らかなる穏やかな日を迎えられるように願いを込めて
『施無畏与願印』の印相にしました。


・裳懸座(もかけざ・・・坐像の裳裾が台座にかかり、垂れ下がっている形)
この度、薬師寺執事 大谷徹奘師により江岸寺とのご縁を取り持って頂いた事から、
薬師寺のご本尊「薬師如来坐像」にあやかり、裳懸座としました。


・仏像の胎内は空洞になっており、平安時代から様々な記録を残してきた優れたタイムカプセル。
今回の仏像の胎内、台座内部にも結縁者の名簿、今回の造仏の制作過程を記した文書、
震災の記録等を入れて、100年後、1000年後の後世に伝えます。


・像高 70cm、 総高 160cm、

・材木 木曽檜
by gizankatoh | 2012-02-21 12:30 | 東北に仏像を

忘れない・・・

b0177891_2135389.jpg
                                                   photo by Junichi Takahashi


きっと、三月十一日の大震災の事も忘れ去られて行くのだろう・・・。

人は「忘れる」生き物。

「忘れる」事は人間が生きて行く上で獲得した術なのだ。

「忘れる」事で未来に向け、前を向いて歩く事が出来る。


しかし、私は忘れたくない。

生きて行く上で大きな重荷を背負う事になっても。


私の中で大切な思いがあるとするならば・・・

この震災と津波で街は消え、多くの命が呑み込まれ、

大切な大切な何気ない日常が奪われた・・・と言う事実を「忘れない」と言う事。


何もかも無くなってしまった街の景色も、舞っていた雪も、

北の空も、穏やかな海も、冬の冷たい風も、吸い込んだ冷たい空気も、

一つ一つの言葉も、一つ一つの想いも、

決して「忘れない」と言う事。





ご支援、ご協力のお願い

-縁<ENISHI>-東日本 仏像奉納プロジェクト
Facebook 仏像奉納プロジェクトページ
by gizankatoh | 2011-12-25 21:01 | 東北に仏像を

長い長い戦い。。。

震災から9ヵ月が過ぎようとしていた12月初旬に初めて岩手県大槌町を訪れた。

瓦礫も片付けられ、茫漠とした被災地に入った事は遅きに失したのかもしれない。

悔恨の情と懊悩、焦燥感・・・自分の中で複雑な思いが同時に押し寄せてきた。


少しづつ穏やかさを取り戻しつつありながらも拭い去れない喪失感と未来への不安の中、

手を合わせる仏様が欲しい、そして私たちの事を忘れないで欲しいと言う痛切な思いが伝わってきました。。。



被災された多くの方は、生涯を懸けても失ったものを取り戻すことは不可能・・・なんだと思う。

それほど、失ったものは計り知れない程大き過ぎる。


被災された方にとっては、これからが生涯を懸けての長い長い戦い。

戦っていかなければならないんだ。。。
by gizankatoh | 2011-12-24 17:19 | 東北に仏像を

紡いだ縁・・・

大槌町で江岸寺の副住職と弟さん、そして吉祥寺のご住職に会って、皆さんとても喜んでくれた。


スッと繋がった。

お会いした刹那、心と心が繋がったような・・・そんな心持ちがした。


ここに来るまでに、多くの方のご尽力と、ご協力を頂く一方、

怪訝な顔をされたり、無視をされたり、批判を受けたりもした。


各方面、多くの方に頭を下げ、連絡を取り、調整をし、

東奔西走・・・東京、奈良、京都へ行き、

やっとの思いで大槌町の江岸寺さんに辿り着いた。


ポンっと繋がる縁もあれば、

紡いで紡いで、やっと繋がる縁もある。


やっと巡り会えた。。。


ここまで遠かったなぁ・・・と感慨深い思いもある。

これからがスタートだ。






ご支援、ご協力のお願い

-縁<ENISHI>-東日本 仏像奉納プロジェクト
Facebook 仏像奉納プロジェクトページ
by gizankatoh | 2011-12-23 20:35 | 東北に仏像を

大槌町を後にして・・・

残念だったのは、大槌町には実質2時間程度しかいられなかったこと。

それも、自分の都合で。

本当は、もっともっと大槌町に居たかった。


自分には”プチ”パニック障害があるので、ある程度決まった時間に行動(移動)する事で、どうにか症状を抑えている。

一応、心療内科で安定剤と自律神経の薬を処方してもらっているのだが、

行動を躊躇ってしまうし、制限されてしまう。。。本当に病気には足を引っ張られる。

神経質で完璧主義な人がなりやすい・・・らしい。


こういった“病気”の事も周りの方にちゃんと言っておかなかったのも申し訳なかった。。。

ご迷惑を掛けてしまった。

b0177891_6462861.jpg



帰り、新花巻の駅で新幹線を待つ間、待合室のガラスケースに展示されている地元(岩手)の物産品を見ていた。

その中で、あるものに眼が釘付け。

『おとうさん、さけだよ!』

あまりにもパンチのある商品名・・・( ̄☐ ̄;)

ノックアウトされたよ・・・

b0177891_645795.jpg








ご支援、ご協力のお願い

-縁<ENISHI>-東日本 仏像奉納プロジェクト
Facebook 仏像奉納プロジェクトページ
by gizankatoh | 2011-12-23 06:56 | 東北に仏像を

江岸寺・・・

江岸寺(こうがんじ)さんに着いた。

と言ってもプレハブの仮設のお堂。


副住職の大萱生 良寛(おおがゆう りょうかん)さんをはじめ、

間に入って調整して下さっている吉祥寺の住職、高橋 英悟(たかはし えいご)さんと良寛さんの弟、知明(ちみょう)さん、

檀家の総代の東梅(とうばい)さんもご一緒に、とても温かくお迎えして下さった。

b0177891_123725.jpg
b0177891_12374947.jpg


良寛さん、知明さんは穏やかな口調で話されているが、当時の話しの悲惨さは筆舌に尽くしがたい・・・


ご自身も津波に呑まれながら一命を取り留めたけれども、

お父さんと息子さんを津波に流され今現在も行方不明。

地震と津波、そして火災とで寺はことごとく失われてしまった。

山の斜面にある墓地も薙ぎ倒され、熔けてしまった鐘楼の鐘が火災の激しさを物語っていた。

骨も灰になってしまって遺族も誰の骨なのか判らなくなってしまったとおっしゃっていた。


現在は仮設のお堂が建てられていたが、檀家さんや町の人が先祖を供養し

心の寄り処として手を合わせられる場所、そして仏様が欲しいと切望されていた。


多くの人が、様々な形で被災地を支援している中、

自分のやろうとしている事が必要の無いものとは思いたくはなかった。


大槌町を訪れ、江岸寺さんに「皆が集まって『祈る』仏様が欲しい」と言われて、

自分のやろうとしている事が無駄ではなかったと確信が持てた。

また、「忘れないで欲しい」という切々たる思いが痛いほど伝わってきた。

b0177891_12452763.jpg
b0177891_12484096.jpg


お墓のある山の斜面を登り、町を眺めた。

穏やかな海が冬の光りを受けてキラキラしていた。

斜面を降りて、本堂があった場所に立って空を見上げた。


大きく息を吸い込んで深呼吸をした。

たくさんの人の喜びも悲しみも苦しみも、涙も笑顔も、この町にあった何気ない日常も、

津波に呑まれ奪われた希望も夢も、すべて吸い込もうと思った。


深呼吸を繰り返しているうちに涙が出そうになってやめた。。。





ご支援、ご協力のお願い

-縁<ENISHI>-東日本 仏像奉納プロジェクト
Facebook 仏像奉納プロジェクトページ
by gizankatoh | 2011-12-21 12:58 | 東北に仏像を

大槌町へ・・・

b0177891_122287.jpg

朝、ホテルの近くにある寺院「石応禅寺」に参拝。

気が付くと風花。

山を越えて雪が舞ってきたようだ。


天気予報では晴れだったのに・・・

b0177891_12253261.jpg

仏像奉納プロジェクトのメンバー櫻井覺山さんと、

活動に賛同して下さっているフォトグラファー たかはしじゅんいちさん、

盛岡を拠点に支援活動をされている鈴木さんと工藤さんが盛岡から車で迎えに来てくれた。


釜石から大槌町に向かう途中、途中の町がことごとく消滅しまっている。

・・・と思えば、瓦礫が堆く積み上げられている所もあった。

b0177891_12224280.jpg


大槌に入ると、まったく静かだ・・・


鉄骨の建物だけを残して何も無くなっている。

見渡す限り何も無い。

風だけが通り抜ける・・・

まるで、最初からこのままの景色だったかのように、静かで人の気配がない。

きっと何もかも片付けられてしまって、人の臭いも営みの痕跡も消えてしまったんだ。

その静かな町に重機の音だけが絶え間無く響いていた。




ご支援、ご協力のお願い

-縁<ENISHI>-東日本 仏像奉納プロジェクト
Facebook 仏像奉納プロジェクトページ
by gizankatoh | 2011-12-20 12:30 | 東北に仏像を