『ものいふ花 よべの雨』に寄せて・・・

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その物語はギャラリーYUKI-SISのあるビルの扉を開けた時から始まっていた。


”恋”

清家さんの作品を見るといつもそう思う。


”触れたい”と思う刹那、”触れられない”という切なさ。

そして小さな恋心を胸の奥にしまい込む。


それは艶があって。瑞々しさがあって。ためらいがあって。

プラトニックがあって。恥じらいがあって。切なさがある。


しかし、今回の個展を拝見させて頂いて少し戸惑った。

”恋”ではなく”母性”があった。

”今”ではなく”懐かしさ”があった。


写真家 清家正信さんの個展『ものいふ花 よべの雨』。

プラチナプリントという技法の所為なのか、郷愁を誘うような作品。

いや、技法は語彙だ。

清家さんはこの物語を紡ぎ出す”言葉”を選んだだけだ。


霞の向こうにあるモノクロームの遠い記憶。

清家さんと鑑賞者(私)の距離が時間と空間を超えてぐっと近付く。

まるで思い出話を聞くように。


微睡む女性。

濡れた花。

雨音。

若かりし頃。

母の横顔。

面影。

・・・佇む少年。


もしかしたら、清家さんはこの景色に蓋をしなければ、

今まで戦って来れなかったのではないだろうか・・・などと想像を巡らす。

そして齢を重ねた今、やっとその蓋を開けて、

それに相応しい語彙(技法)を見つけて、

少しづつ確かめるように、愛おしむように、

さらけ出すことができたのかな・・・なんて。


心がヒリリとするところもありながら心温まるとても素敵な展覧会でした。
by gizankatoh | 2015-07-12 18:38 | 展覧会
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