瓜南さん、ありがとうね。

6月7日・・・

結局、喪服に袖を通した。

前の晩まで、瓜南さんの為に喪服は着たくないと思っていた。

周りの人に白い目で見られてもジーンズで瓜南さんに会いに行こうと思っていたんだ。


季節は梅雨を迎えようとする頃。

鎌倉では紫陽花のきれいな季節。


風が心地良い清々しい日和になった。

瓜南さんは雨女を自称する程の雨女なのに。


式場に着いたら瓜南さんと親しくされていた画家の伴さんがいた。

伴さんの姿を見たら言葉にならない思いが込み上げてきた。


いつも下駄を履いている伴さんが靴を履いているのを見て、

「今日は下駄じゃないんですか?」って訊いたら

「無理やり履かされたんや。」と言っていた。

目にうっすらと涙を浮かべていた伴さんに、自分なりに精一杯のギャグで突っ込んでみた。

その時強く握り締めた手の感覚が今も残ってる。


棺の中で眠っている瓜南さんを見て、

「あぁ、やっぱりそうなんだ・・・そうなんだ。」

と、その時に現実なんだと理解させられた。


棺の中を花で埋め尽くして、

「瓜南さん、ありがとう・・・」と何度も繰り返した。


告別式が終わって火葬場まで行った。

鎌倉の空に昇る煙を見ていた。

瓜南さんは兎のいる月の国へ行ってしまったのかな。


自分は瓜南さんの最後の2年程しか関わっていない。

瓜南さんの画業の詳しい事も知らない。

でも、ベテランの方から若い作家、また美術方面だけではなく

小説家の方、文学方面の方など多くの方に慕われている事を知った。


自分のような畑違いの若輩にも気遣ってくれた。

その2年の間にいろんな美術関係の方と知り合えた。接着剤になってくれた。

自分は仏師として修業をしてきて、日展に入選し、

ギャラリーで作品を取り扱ってもらうようになってからも、何も知らないガキだった。

今でもそうだけど・・・


瓜南さんと知り合って、やっと美術畑の扉の前に立てたように思う。

仲間として迎え入れてくれたと思う。

これからだったのに。。。


短い間だったけど、自分はカナンさんが蒔いた”志”や”思い”の「種」のようなものを受け取れたと思っている。

それはコンマ何ミリにも満たない小さな小さなものかもしれないけれど、

その「種」に一生懸命水をやって花を咲かせるんだ。


来年の春の「観〇光」展で瓜南さんに作品を褒めてもらいたかったな。

瓜南さん、良い旅を。
by gizankatoh | 2012-06-10 08:18 | 月鏡
<< 戦うんだ・・・ 静かな・・・ >>